雲場池(くもばいけ)2010年の紅葉
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2010年 雲場池の紅葉をふり返って 2010.1120(一部修正・加筆)

 

 2010年、今年も素晴らし紅葉の移り変わりを楽しむことが出来ました。シーズン中には全国各地から観光のお客様、地元や別荘の方々が紅葉を愛でに訪れ、軽井沢の秋を存分に楽しまれていったことと思います。
 今年の紅葉の特徴を挙げるとすれば、見ごろの時期が平年よりも大変遅く、またカエデやドウダンツツジ等の紅葉が真っ赤にはならず、橙(だいだい)色に染まった、ということです。
 軽井沢草花館のHPで雲場池の様子を紹介し始めて今年で10年目になりますが、毎年紅葉の時期や色合いなどの違いに触れ、本来自然とはこういうものなのだ、と考えさせられます。
 そして、紅葉の終わりが一年の締めくくりであると同時に、次の年の始まりであることも、自然の木々や草花が教えてくれます。なぜなら、カエデをはじめ多くの落葉樹はもう来年のための芽を出しているからです。

 これから厳しい寒さの冬を越して、来年の芽吹き、新緑、そして紅葉へとめぐる雲場池の変化が今から楽しみです。
 今年の更新はこの辺で終了させていただきます。長い期間ご清覧いただき、ありがとうございました。

  2010年11月18日 小さな美術館軽井沢草花館:石川 寛


気象から見た雲場池の一年(参考資料)

 年明け2〜4月まで、記録的な日照不足が続いた年でした。そして、5月からは平年並みの気候へと回復したものの、6月から9月下旬までは春先とは対照的に高温、日照の多い気候が続き、記録的猛暑の夏となりました。
 紅葉時期に入る10月、最低気温が高く、昼夜の気温差が小さく、その上日照時間の少ない月となり、紅葉の進行が平年以上に遅くなりました。
 11月に入って紅葉の最盛期を迎えたことろで風の強い日が続き、見ごろの期間が比較的短かく終わった年でした。

【冬(1〜3月)】
 この冬の軽井沢平均気温は1〜3月にかけて平年並みかやや高かったのですが、体感としてはずいぶん寒く感じました。日照時間が少なかったことが大きいようです。
 気象庁の軽井沢測候所(追分)での記録によると、1989年(※1)からの観測以降の月別日照時間は1月が平年並みだっただけで、2月:観測史上(※1)2番目に少
3月:観測史上(※1)最少となりました。

 ※1:1989年、軽井沢測候所での日照時間の計測方法が現在の計測条件になった年。

春(4〜6月)】
 4月に入っても日照不足は続き、加えて16日から17日に20センチを超える積雪になるなど気温の低い日が続きました。4月の日照時間は観測史上(※1)2番目に少なく、平均気温も5.0℃と平年(6.6℃)に比べてかなり低い値となりました。

 5月からは平年並みの気候となりましたが、6月は観測史上(※2)3番目に高い気温となりました(17.2℃)

 ※1:1989年、軽井沢測候所での日照時間の計測方法が現在の計測条件になった年から
 ※2:1964年、軽井沢測候所での平均気温の計測方法が現在の計測条件になった年から

【夏(7〜9月)】
 6月から始まった高温は7月になっても続き、今年の夏は全国各地で記録的な猛暑となりました。軽井沢もまさに記録的猛暑となった年で、月別の平均気温でみると、7月は観測史上(※2)5番目に高い21.1℃
8月は観測史上(※2)最も高い22.8℃9月は観測史上(※2)3番目に高い18.1℃と、6月から記録的な高温の月が続きました。

 ※2:1964年、軽井沢測候所での平均気温の計測方法が現在の計測条件になった年。

【秋(10月〜11月)】
 10月も全体的に暖かな気候となりました。下旬25日までの最低気温と日平均気温が平年値を下回ったことはありませんでしたが、26日の午後から気温が氷点下にまで急降下し、10月に入って初めて最低気温と日平均気温が平年を下回りました。(下グラフ参照)。
 26日夜から27日朝にかけて初雪がチラチラと舞うなど、本格的な冷え込みが始まり、紅葉も一層彩りを増してきました。
 10月は下旬に雪が舞うなど冷え込んだ日が続いたものの、全体的には暖かく、特に朝の最低気温が高い月となりました。10月は一日ごとの最低気温の平年平均値が4.9℃なのに対して、今年の平均値は8.3℃と平年値を3.4℃も上回りました。
 また、春先の再現のように日照時間の少ない月でもありました。10月の日照時間合計が平年値、140時間なのに対して、今年の合計値は85.5時間と平年値の61%しかありませんでした10月の日照時間が85.5時間というのは3月に続き軽井沢の気象観測史上(※1)最少値でした。気温が高かったためか、あまり話題にも上がらず、気にならなかったことかもしれませんが、朝の冷え込みが少なく、また極端に日照時間が少なかったことが紅葉の色づきを鈍化させて、カエデやドウダンツツジが真っ赤にならなかった要因だったのかも知れません。
 11月に入り、紅葉が最盛期をむかえようとした1〜3日、比較的強い風が断続的に吹き、また冷え込みの厳しい朝が続いたこともあり、紅葉(特にモミジ)が赤くなりきらないうちに、落葉を始めました。
 10月下旬から11月にかけては、朝の冷え込みが平年よりも厳しい氷点下になる日が多く、紅葉の落葉も比較的早く進んだように感じます。
 その後、見ごろと言える時期が8日まで続きましたが、9日の強風と10日朝にかけての厳しい冷え込みによって多くが落葉し、雲場池における紅葉シーズンもおおむね終了となりました。
 
 ※1:1989年、軽井沢測候所での日照時間の計測方法が現在の計測条件になった年から



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